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とって意義あるセンターとする努力が重ねられた。
このように検討に長期を要した理由としては、?WHOにとって、地域自治体や民間部門と共同でプロジェクトを進めることは初めての事例であったこと、?WHOにとっても全く新しいタイプの研究所になることから、その運営について十分な検討が必要であったこと、?地元側においても、厚生省等政府との協議や財政支援に関する地元内部の調整に時間を要したことが上げられる。
こうした長年にわたる協議の結果、平成7年1月16日から始まったWHO執行理事会に神戸設置案が提案されたが、その直後の17日に神戸は兵庫県南部地震に襲われた。当初、ジュネーブにおいては、地震被害の余りの大きさに神戸設置を危ぶむ空気が広がったが、地元側としては、復興のためにも必要な施設であるとの考えから、「センター支援の方針は変わらない」旨の意向を伝えた。この神戸側の熱意に感動が広まり、23日の理事会において全会一致で神戸設置が決定された。

 

3 WHO神戸センターの概要
(1) センターの機能
センターは健康開発に関する学際的研究機関として、経済、社会、環境、人口統計学等様々な要因と健康との相関関係について情報を収集・研究し、各国の政策に反映し得る有用な指針等として提供することを任務としてしている。このため、次の4つの機能を備えるとともに、その活動を支えるデータベースの構築及びインターネットによるWHO情報の利用を容易にするための情報支援システムの開発を行っている。
なお職員は、専門職、一般職、短期研究員等40名程度を予定している。
? 情報収集・分析機能
経済、社会、環境等の分野における健康問題に関連したデータの収集・分析や研究所間のネットワークの構築
? 研究機能
経済開発や貧困の減少に果たす健康の役割等についての学際的研究
? 普及啓発機能
国際会議の開催やレポートの発行など情報分析や調査研究から得られた成果の普及
? 人材育成機能
研究員の受け入れなど健康開発、学際的研究に関する人材の育成

 

 

 

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